あとがき

 ”スペシャルタレント”、”ST気質”などの呼称を、初めて眼にされた方々が多いと思いますが、どんな感想をお持ちになったでしょうか。

 周囲から理解してもらえず、自分を肯定できないスペシャルタレントの子ども、若者、大人たちがどんどん増えています。スペシャルタレントの人々が、自らの気質を認知し、家族をはじめとする周囲の人々のサポートを得ることができれば、日本の未来は確実に変わると思います。

 スペシャルタレントの人々は、わが国の少数民族の立場におかれています。彼らは、わが国の年々硬直化していく単線型の教育システムや、ますます激しさを増す企業の営利至上主義、消去法的な人事評価、人と違うことを許容できない集団主義などに対して、これ以上、自らを適合させることができずに、自らの身体を張って、異議申し立てをしているのではないでしょうか。もっと、一人ひとりの個性を大切にして欲しい、そんな社会であって欲しいと訴える存在であると思います。

 わが国は、かつて他人と違う才能を持つ人たちが、豊かな文化を育む土壌がありました。だからこそ、世界に誇る文化が花開いたのです。そこには、異質な才能を持つ人々へのリスペクトがありました。

 しかし、戦後70年近くたって、あらゆる階層、組織の画一化、硬直化が進み、異質なものを受け入れるキャパシティが、どんどん狭くなってしまったのです。組織の中で苦戦している人々が悪いのではありません。組織が異質なものを許容できるしなやかさや、幅の広さを失ったがゆえに、人と違う感性や個性を持つスペシャルタレントの人々が苦しむことになったのです。

 不登校、引きこもり、出社拒否はマイノリティーの反撃ののろしです。もっともっと広がれば、わが国のあり方が変わらざるを得なくなるでしょう。

 この本を通して、一人でも多くの人々が、未来に輝くスペシャルタレントの存在を知り、応援団になって下さるとともに、自分を知るきっかけにしていただければ幸いです。

 最後に、私の要望に振り回されながらも、最後までお付き合いいただいた、学びリンクの高橋さん、快く対談に応じていただいた森下さんに、心より感謝申し上げます。   平成二十四年十二月吉日   森 薫

 

以上です。  実は、こちらの森先生。以前は「温ユーザー」でしたが、コロナ禍後にお亡くなりになりました。大変残念でなりません。今回ご紹介いたしました「スペシャルタレントの3部作」他、多数の書籍を「温図書室」では貸出いたしております。温ユーザーのお母さん方の一助になればとも思っております。王子夫婦も「あの時、知っていれば~」という子育て時代の事案もありました。是非、ご活用ください!     温王子でした・・・