エピローグ2

 ここからは、音楽を言語の研究からひも解いた傳田文夫氏の研究になりますが、日本人が情緒を感じる音には共通点があるというのです。

 たとえば風の音と言える風鈴や、ひぐらしの鳴き声、鶏の鳴き声しかり、どれも音と音の間に不定期な「間」があるということ。子音が弱く、音がいつのまにか「母音」になっていくという共通点です。

 「ゴオオーーーーン」(Gooooooooon)というお寺の鐘の音。この母音(「オ」(o)」の余韻に情緒を見出すのが、日本人の感性なんです。

 歌舞伎や民謡や童謡、演歌には、母音の余韻を引っ張って歌う日本人の感性がもろに出ています。演歌が、こぶしをきかせて歌うのも、実は母音を味わっているわけです。

 日本語のルーツは、なんと1万年以上も遡ることができる、世界でも類を見ない珍しい言語なんです。生まれた時から日本語を学んできた僕らは、生まれた時から自然と共感共鳴できる感性を培ってきたとも言えるのです。

 

 しかし、心にゆとりを失い、この感性を今、日本人は眠らせてしまっています。

 ブンジュ村の村長や村の人たちはそれを心配し、その復活をショーゲンさんに託しました。とてつもない愛を持って、

ショーゲンさんの中に眠る日本人の感性を、呼び覚ましてくれたのです。

 僕らの血に眠るその感性を呼び覚ます時は、まさに今です!

 待ったなし!

 

 最後に、「ジャポニズム」の話をさせてもらって、ブンジュ村から受け取ったバトンをあなたに託したいと思います。

19世紀後半、ヨーロッパとアメリカに「ジャポニズム」と言われる一大日本旋風が巻き起こりました。当時、ヨーロッパに輸出するための陶磁器を、今でいう新聞紙のようなもので包んでいたわけですが、そこに印刷されていたのが葛飾北斎の漫画や浮世絵でした。その斬新な構図、モチーフ、色彩感覚があまりに新しいと、北斎の浮世絵を始め、日本のアートがヨーロッパやアメリカでブームになったのです。そして、モネやセザンヌ、ゴーギャンといったそうそうたる画家に大きな影響を与え、当時のフランス絵画界を席巻しました。

 当時、パリでは「家に日本の浮世絵があるんだ。見に来ない?」というのがデートの誘い文句になるほどでした。

ゴッホも数百点に及ぶ浮世絵コレクターであり、何枚も模写したそうで、その影響は作品にもはっきりと見てとれます。ゴッホは浮世絵を「新しい発見」だったと語っています。

 アメリカのアンディ・ウォーホルがポップアートとして芸術を大衆のものにしたと言われていますが、日本では江戸時代というとっくの昔から、アートは庶民のものだったんです。

 

 19世紀後半の、葛飾北斎を代表とするジャポニズム旋風は、「西洋画壇を100年進化させた」「西洋の美意識を変えた」と言われています。

 僕らの先輩が、西洋の美意識を100年進化させたと言われてるんです。ヤバいですよね。

後輩である僕らも、この星の精神性を100年進化させて、「ニュージャポニズム」と言われるような大旋風を巻き起こすことを託されているんじゃないでしょうか。

 

 2020年、日本のパスポートのデザインが28年ぶりに刷新され、葛飾北斎の浮世絵「The Great Wave」を始めとする『富嶽三十六景』が基本デザインとなりました。これは日本人の集合無意識が、日本人代表として葛飾北斎を選んだと僕は見ています。  2024年には、千円札の裏面も北斎の浮世絵になります。パスポートも紙幣もその国を象徴するものです。

 つまり、「北斎に続け」ってことですよね?

「いや、もう自分、いい歳だから」と思った方、北斎が代表作『富嶽三十六景』を発表したのは70歳頃ですからね。

 

  ~中略~です

 

 最後の最後に、もう一度、村長の次の言葉を味わっていただきたい。

 

「世界の80人に1人が日本人なんだ。だから、地球にはまだまだ可能性がある。地球のために頼むぞ日本人!

 日本人こそが世界を真の幸せに導ける人たちなんだから。日本人の血の中に流れる素晴らしい記憶を呼び起こしてね」

 ~ダマス村長~

 

村長は、この本を楽しみにしていてくれたそうです。

  空から見ててね。 僕らは、今日、空をみあげるから・・・・。  2023年10月吉日       以上です・・。

 

まあ、すごく熱量のある筆者たちの本でした~。一気読みがおすすめです。

間を置くと、途中で中だるみ現象が出るかも~(笑)。

次回はショーゲンさんの「エピローグ」です。     温王子でした・・・