おわりに2

 全微生物のなかで、明らかに人に害を与える微生物はごく一部。ほとんどの微生物はなんの悪さもせず、あらゆる生物や地球環境の維持に必要なものです。一部は、常在菌として私たちと共存し、私たちの健康を根本から支えてくれています。行き過ぎた微生物の排除は私たちにも悪影響を及ぼし、これが現代病の激増に結びついているのです。

 衛生管理が整っている日本では、特別に滅菌や除菌を徹底する必要はありません。日常の掃除や洗濯、手洗い、入浴、食品の衛生などももちろん大切ですが、可能な限り、腸内細菌などの常在菌にもやさしく、環境に負担をかけない方法を選択するといった工夫が大切です。

 

 人類はウイルスを含めた多くの感染症を経験して発展してきました。私たちは、ウイルスや菌などの微生物と常に接触し、ときにはカゼをひいたりしながら免疫系を発達させ、その働きをコントロールする重要性も忘れてはいけません。

 感染症にかかって発症したり、重症化したり、後遺症が出たりするのは、ウイルスなどの微生物自体の問題というより、むしろ免疫系の調節能力が弱くなった私たちの体に問題(原因)があるのです。

 

 さて、そのようななか、2019年末に、新型コロナウイルスが出現しました。このウイルスの流行は瞬く間に全世界へと拡大し、私たちの生活が大きく変化したことは皆さんご存じのとおりです。

 特に、日常的に手洗いやうがい、身の回りの消毒などを徹底することが習慣となりました。それに加え、マスクの着用、あらゆる物の使い捨て、ソーシャルディスタンス(社会的距離)、フェイスガード、集会やイベント、外出自体の制限などが、新しい生活様式として勧められています。

 こうしたことにより、今まで以上に微生物と接触する機会が激減してきます。それによる今後の影響は計り知れませんが、全く指摘すらされていません。

 新型コロナのようなウイルスは先日の報道にもありましたが、今後も変異株や別のウイルスが次々と出現してくる可能性があります。このような感染症には、接触を避けても、身の回りをどんなに滅菌・除菌しても、薬や抗生剤を飲んでも、ワクチンを打っても、根本的な対策にはなりません。むしろそれらは、自分自身の免疫力・抵抗力を下げることになります。

 感染の流行が拡大しているときは、感染しない・人にうつさないという対策も必要になりますが、徹底しても終わりはありません。やればやるほど社会は疲弊します。つまり、病気の原因を外に求め、それに対処しても、本質的な解決にはならないのです。

 

 今後は、新型コロナの出現により、感染症を含め、病気というものに対する考え方を根本的に見直すことが必要になるでしょう。自分の外に頼るばかりではなく、自分の内なる力を高めることによる予防法、治療法、健康法、生き方などに移行していく必要があります。

 感染対策やワクチンに関して、人々の考え方は二極化していくでしょう。ただし、その考え方を人に強要したり、排除したりするのではなく、それぞれの考えを尊重し合える新たな社会を目指さなければならないと思います。そのためには、まず自分がどうしたいのか、ということが大切です。そして本書が、そのことを考えるにあたっての一助になることを願います。

 

2021年2月吉日  著者記す      以上です・・。

 

今後も、今回のようなパターンで王子お勧めの書籍をご紹介していこうと思います。

たぶん、これなら怒られないと思うからです(笑)。よろしくお願いいたします。   温王子でした・・・