はじめに3

 ~「医」の前に「食」があり、「食」の前に「農」 「農」の前には「土(微生物)」がある~

 

 根本である原因にアプローチするためには、原因がわからなければなりません。そこで私は、病気の真の原因は何か、とことん追求しようと思いました。

 まず考えたのが「医」の前に「食」があるということです。私たちの体は、食べ物を原料にしてできており、健康かどうかは、食が大きく関係しています。そして、その作物を生み出しているのが「農」です。さらに、作物に養分を供給し育てているのが、「土」であり土の中の「微生物」だったのです。

 農業にとって最も大切なのは土作りです。おいしく、栄養価も高く、健康にもいい作物は、土の中の微生物の状態に左右されます。さらに、それと全く同じ関係が、人の体でも起こっていることに私は気づきました。

 

 人の健康にとって最も大切なのは、土の中の微生物に相当する、「腸内細菌の状態」だったのです。ここで、私の研究してきたウイルスなどの微生物と、健康との関係がつながりました。自然に起こっていることのすべての根本原因は同じであり、とてもシンプルな法則であることがわかったのです。

 この10年くらいで、腸内細菌についての研究が飛躍的に進みました。腸内細菌が健康の要であり、あらゆる病気と関係していることが次々に判明しています。それらも、私の考えを裏付けています。

 

 ~微生物を排除している生活こそが現代病を引き起こす根本の原因~

 

 では、土の中の微生物や腸内細菌はどのようにして、私たちの健康に関係しているのでしょうか?

 

現在、医学が急激な進歩を見せているにもかかわらず、現代病という新しい病気が増え続けています。それは、人と微生物との連携がくずれ、免疫機能のコントロールを失っているからです。

 人の体の周囲にはおびただしい数の微生物が存在しています。私たちの免疫系は、毎日この微生物と接触し、共存するのか、排除するのか、何もしないかなどのコミュニケーションを取りながら働き、学習し、成長、成熟していきます。

 

 現代病の本質は、免疫の調節がうまくできないことにあります。その理由は、本来あるべき微生物(特に腸内細菌)との関係がくずれているからです。

 このコロナ禍において、あらゆる微生物は汚いもの、悪いもの、病気の原因であり、敵だという考え方がますます強化されているように私には思えます。それにより世の中には、抗菌、除菌のための商品が必要以上にあふれています。さらに、現代の便利な生活を支えているあらゆる化学物質(農薬、洗剤類、防虫剤、食品添加物、放射能など)は、そのそれぞれの毒性に加え、すべて微生物を排除するという側面があります。

 

 このような行き過ぎた滅菌や除菌を行い、微生物を排除している、今日の私たちの生活こそが、現代病を引き起こす根本の原因になっているのです。

 菌をはじめ微生物のほんとうの役割を知り、積極的に触れ、良好な関係を取り戻すことが大切であること。それが、人にとっても微生物にとっても地球環境にとってもよいことになるという思いで本書のタイトルをつけました。私たちの健康にとって何が大切か、それを根本的に考え直すきっかけになれば幸いです。     以上です・・。

 

マジメな先生なんだな~と「はじめに」の文章から伝わってきます。本編は随時、UPできればと考えています。

なんか、怒られそうで・・コワイ~(笑)。   温王子でした・・・