現代医療を変える難しさ

 これまで繰り返しお話ししてきたように、病気は生き方の偏りで起こります。本質的なことは実にシンプルです。このことがわかれば、治し方も見えてきます。つまり、生き方の偏りを自分で是正することです。

 しかし、偏っていることを本人が自覚できなければだめですし、それまでの生き方を変えようとすれば、かなりのエネルギーを必要としますから、自覚できたとしても、実行に移す意欲が湧かない人もいるかもしれません。そういう人たちは、やはりそれまで通り、医者まかせの対症療法を続ける道を選んでしまいます。今の日本の医療制度は、対症療法のための薬をたくさん患者さんに出すことで利益が上がるようにできていますから、この流れを断つことは難しいのです。

 そして、生き方の偏りに気づくためには感性が必要です。科学万能主義や分析医学だけでは、医者も一般の人も感性から遠のくばかりです。医学生は勉強する期間が長いので、自信過剰に陥りやすいのです。自分は学問の頂点に達したと勘違いしがちですし、これに専門領域が加わると、さらに手がつけられないような天狗になってしまいます。なかには病気がまったく治っていないのに、どうしてこんなに自信満々でいられるのだろうと思える医師もいます。一方、患者さんについていえば、まさに日本社会や日本経済を支えているような真面目な人たちが、結果的に現代医療の支持者となっていることが多いのです。

  一口に病気といっても、軽いものから重いものまで、いろいろです。例えば、風邪をひいたときに風邪薬を飲んでも、それほど害は現れずに、結局は治ってしまいます。虫に刺されたときにステロイド軟膏を塗っても、一過性のものですから害は現れないで治ります。高血圧症や高脂血症に降圧剤やコレステロール代謝阻害剤を飲んでも、2~3年くらいは平気でしょう。こうして、少しの間違いを積み重ねているのが現代医療の現実なのです。対症療法で病気が悪くなっていても、自分の病気は年のせいだと思ってしまう患者さんも多いのです。

 現状を見ていると、このまま極限まで行って破綻してしまうのではないかと思えるほど、現代医療の流れは進んでいます。例えば、抗ガン剤の副作用をステロイド併用で止めようとしていますし、膠原病にステロイドのパルス療法(ステロイド剤を点滴で通常3日間程度大量投与する治療方法)では飽き足らず、延々とステロイドの維持療法をやっています。潰瘍性大腸炎やクローン病に対しても同様です。極めて病気の悪化が早くなっているのです。どこまでいけば、目が覚めるのでしょうか。

以上です・・。

 

やや怖めの終わり方でしたが、これが今の医療の「流れ」なんですね。この流れに乗っていないお医者様や医療機関を探すのは、一苦労ではないでしょうか。仮に、見つかったとしても「保険外診療」でしょう。いや~資本主義ですね。

温王子でした・・・