電子カルテの導入

 岐阜大学医学部で講演を行った時、内科の教授から、「当大学病院では全面的に電子カルテを導入する予定です」という話を聞きました。最新のコンピュータ・システムが使われるということです。そして、大学病院の玄関はホテルのロビーよりもりっぱな巨大空間でした。このようなりっぱな設備にふさわしい医療が行なわれることを願うばかりです。

 全面的に電子カルテを導入しないまでも、病歴などのデータをパソコンで管理する医師が増えれいるのは事実です。ある患者さんからこんな体験談を聞きました。診察の間じゅう、医師は患者さんの顔を見ずにパソコンのキーをたたいていたというのです。病歴をつくり終えると、それ以上の話をすることなく検査にまわされてしまったそうです。電子カルテがあちこちの病院で使われるようになったら、このような光景がさらに増えるのではないでしょうか。杞憂に終れば幸いです。

 私はアメリカに留学しましたが、そこで印象に残っているのが、次のようなボスの姿でした。臨床の教授ともなると、ふつう秘書を数人抱えています。毎日のスケジュールをチェックする秘書、研究論文をタイプする秘書、講座を運営する秘書などがオフィスに控えていました。

 さて、そのボスは、一人の患者の診察が終わると、テープにその病歴を吹き込むのです。吹き込みが終わると、次の患者の診察に移ります。そして、その間に秘書の一人がヘッドホーン付きのテープレコーダーで吹き込みを再生し、それを聞きながら、カルテをワープロで完成させるのです。細かい日時や数字は、ボスがつくっていたメモを見ながら打ち込んでいました。日本のように、医師が自分でパソコンやワープロを操作することは決してありません。診察するときは、始めから終わりまで患者さんと向き合って話を聞いていました。

 電子カルテを導入するのは結構ですが、形式だけをマネるのはやめてほしいものです。患者さんの顔を見ないで病態を把握することはできませんし、患者さんの不安を解消することもできないからです。患者さんはいろいろな不安を抱えて病院にやってきます。不安で交感神経緊張が極限状態になっているのです。医師の力強い励ましを受けて不安から逃れることが、病気から脱却する強い力となる場合も多いでしょう。医師の力量を発揮できるかどうかは、どのように患者さんに対応しているかがカギとなるのです。

 これからは患者側からの「医師評価」も必要な時代になると思います。

以上です・・。

 

お医者様には耳が痛い、今日の安保節だったのではないでしょうか。私たち(患者側)も原因を見極める思慮が必要だと思います。そのための「安保理論」ですし、理解した上での「還元陶板浴」利用が最善かと思いました。

温王子でした・・・