「防御系」はどのようにして生まれたか

偽足を出してからだのなかを移動しますし、異物が近くにあると飲み込んで無毒化するのです。

 人間のような高等な多細胞生物でも、防御の基本はマクロファージです。この細胞は、存在する場所によって異なる名称がつけられています。脳ではグリア細胞、肺ではマクロファージ、肝臓ではクッパ―細胞、血液では単球、骨では破骨細胞、組織では組織球という具合です。そのために、「防御系」の基本がマクロファージであるという概念が育ちにくかったのかもしれません。

 私たちの研究室では、マクロファージがそれぞれの場所で、いつも間葉系の幹細胞(多分化能を持ち、移植すると多くの組織の再生を促進する)から再生されていることを見つけ出しました。骨髄は、進化して陸上生活を始めた生物の間葉系幹細胞を大量に抱える場所ですが、進化の過程からいえば新参者です。

 その後、マクロファージから細菌処理にすぐれた顆粒球と小さな異物処理にすぐれたリンパ球が派生します。顆粒球とリンパ球という、この二大防御細胞が、前線を守るという流れに入ったのです。その働き具合を調節しているのはマクロファージで、さらにいえば、それらは自律神経に支配されているのです。

 つまり、自律神経の中の交感神経が活性化すると、白血球の中の顆粒球(細菌を貪食するのに優れている)が増加し、副交感神経が活性化すると、リンパ球(免疫を司る)が増加するのです。これらの分化はからだを効率よく護るために生まれたものでしょう。

 しかし、自律神経の働きが、交感神経、あるいは副交感神経のどちらかに偏り過ぎると、顆粒球、リンパ球という二大白血球の過剰反応も生まれ、病気をつくり出してしまうのです。

 この考えを取り入れなければ、病気の成り立ちを理解することはできません。   以上です・・。

 

今日や次回の内容は「はたらく細胞」アニメを視聴すると、よくわかると思います。擬人化された「防御系」のキャストたちが、たくさん出演してますよ~(笑)。 次回は顆粒球とリンパ球についてです。  温王子でした・・・