がん①(悪性腫瘍)敵視してはいけない大元の細胞

成立させました。

 こういう進化の経緯から、ミトコンドリアの多い細胞は分裂できず、がんにはならない、反対にミトコンドリアの少ない細胞は分裂してがんの素地になる、という流れができました。ミトコンドリアのすみついている数で分裂が可能かどうかは決まります。ミトコンドリアは酸素と温かさの必要な場所、つまり、心筋、赤筋の多い神経や心臓に多くいます。心筋では、ミトコンドリアの数は1細胞あたり5000個くらいです。

 こうした細胞は3歳までに分裂が終わり、その後は分裂をしないで大事に使い続けていく細胞です。ミトコンドリアは、温かく酸素が必要で細胞分裂のない世界ですから、がんは嫌いで発生する母体にはなれません。

 たとえば脳腫瘍の場合、脳神経の周りをとりまくグリア細胞などはがん化しますが、ミトコンドリアが多い神経細胞は特に大人ではがん化しません。子どもは分裂途上のミトコンドリアの少ない時期にあるため、神経芽腫(交感神経節から発生する腫瘍)が、がん化することはあります。しかし、自然退縮することが多いので、早期に発見するための検査は行っていません。

 ミトコンドリアの少ない細胞は、低体温で無酸素で分裂する、がんの好きな場所です。皮膚の上皮、腸の上皮、骨髄細胞、男性の精子です。

 ちなみに男性の精子は、ミトコンドリアの数が1細胞あたり100~200個で分裂がさかんです。がん細胞もミトコンドリアの数は同じくらい少なく、分裂がさかんな細胞です。

 がんは、上皮、あるいは上皮に付随した細胞で代謝産物を排出する分泌性のある場所、常に細胞が分裂する場所でしか発生しません。

 がんの原因はストレスです。

 無理して過酷な生き方を続けたり恐怖にさらされたりすると、交感神経が緊張状態になります。すると、体はステロイドやアドレナリンを分泌し血管が収縮し、ミトコンドリアの機能を抑制して低体温、低酸素、高血糖の状態になります。

 この状態が短い間は、ミトコンドリアでのエネルギー生成の働きを止めて高血糖を準備し、瞬発力で解糖系エネルギー生成をフル活用するストレス反応で何とかして危機を乗り越えようとします。このストレス反応をうまく使い続ければいいのですが、人間の場合は脳神経や大脳皮質が発達しているので真面目にがんばり続けてしまいます。決して短い期間ではすみません。

 責任と重圧にじっと耐えながら努力を続けたり、あいつだけは絶対に許せないと怒りを持ち続けたりなどして、人間独特の精神作用が続いて、低体温、低酸素、高血糖の状態が長く続くと持ち込まれていくわけです。

 そうなると、ミトコンドリアでのエネルギー生成は難しくなり、ミトコンドリアの分裂抑制遺伝子の効力は停止し、解除されてしまいます。するとミトコンドリアが少ない細胞の中から、さらにミトコンドリアを削り、20億年前の原核生物の性質があらわれて、がん細胞になる反応を引き起こしていきます。がん化の始まりです。がんは、私たち真核生物の祖先、原核生物の性質のあらわれで、遺伝子の間違いで生じるものではありません。

 普通のがんが成長するには10~20年かかりますから、高齢になって見つかったがんは40~60歳頃に生まれたものです。青壮年期の働き過ぎや悩み過ぎがストレスになり、がんを攻撃するリンパ球の働きが抑えられて発がんしたということです。

 50~60歳のミトコンドリア系にシフトすべき調和の年代に入っていても仕事のスタイルを変えず、瞬発力をきかせて無理をしする解糖系の生き方が、がんを生みやすいのです。

 

だいぶ長くなりましたが、まだまだ続きます。ここまでお付き合いいただきありがとうございました(笑)。次回は安保節(安保理論)全開で、現代医療のがん対応を診ていきます。ご期待ください! 温王子でした・・・