命を削るステロイド剤

のはミトコンドリアです。ミトコンドリアにはステロイドの受容体があるので、ステロイド剤をとると結合し、ミトコンドリアの機能は一時的に抑制されてしまいプロスタグランジンはつくれなくなります。一見、炎症がおさまり治ったかのように見えますが、実際は、ミトコンドリアのエネルギー(熱)をつくる働きを止めているので、病気を治す過程を止めてマイナスになっています。ステロイド剤は冷えをつくり、生きる力を止めてしまう、命を削っていく薬です。ステロイド剤は副腎皮質ホルモンが持っている、炎症を抑えて免疫を抑制するという働きに着眼して化学的にコレステロールから合成された薬です。ですから、副腎皮質ホルモンと同じような働きをします。副腎皮質ホルモンは、交感神経が働く日中や強烈なストレスを受けた時、緊急状態を乗り切ろうとしたときに分泌さらます。そのため、ステロイド剤を使えば使うほど体は交感神経緊張状態になります。血管が収縮し、血流障害が起こって低体温になり、ふえた顆粒球が活性酸素を放出して組織障害が起こります。体はどんどん冷えていき、短期間の大量摂取でも副作用が出ることがあります。何しろステロイド剤は、体で微量な調節をしながらつくられている副腎皮質ホルモンとは違います。使い始めは体内のコレステロールと同じように回収されていきますが、濃度が高いので組織内に残り変性をしていきます。残ったコレステロールはさらに酸化され、酸化変性コレステロールとなり組織に蓄積します。アトピー性皮膚炎などで長く使うと、酸化変性したコレステロールは皮膚に蓄積します。蓄積された酸化物質の影響によって、体はさらに交感神経緊張状態になり、顆粒球がふえて化膿性の炎症が起こりやすくなります。リンパ球が減少するので感染症にかかりやすく、不安症、緑内障、白内障、不眠、ステロイド潰瘍、大腿骨骨頭壊死などの副作用に悩まされます。急性期のつらい症状を抑えるための一時的な使用は許容範囲ですが、炎症が治まっても使い続けるのは逆効果です。1週間以上飲み続けると体は薬に依存し、ステロイドホルモンをつくりにくくなってしまいます。服用しているステロイド剤を急にやめると、リバウンドだけでなく、全身の生理機能が障害を受けます。やめるときには、使用量を徐々に減らしながら1~3か月ほど時間をかけてステロイド剤の離脱をしなければなりません。本来は、主治医の協力の下に減らしていくのがベストです。医師から協力を得られない場合は、急性期を過ぎて症状が治まってから1粒減らし、リバウンドがなければ、さらに1粒と離脱を進めていきます。1日半錠までになったらやめてみましょう。弱いプレドニン10㎎までなら簡単に、5㎎まではがんばって減らすことができます。この量は、体が生理的に出すステロイドの1日の量10㎎弱に相当します。5㎎程度ならば体はそれほど冷えず、深刻な副作用が出るまでには20年はかかります。失敗しても再度チャレンジしていけばいいのです。以上です。安保先生はやさしい語り口調ですね(笑)。次回をお楽しみに!温王子でした・・・